二十歳のうちに「二十歳の原点」を読んだ

 他に誰かが書いていそうなタイトルだ。

 今学期はいろいろな理由で授業を切りまくって、結局週6コマだけのオンライン授業を受けて、後の時間はフリーというモラトリアムの極みみたいな生活をしている。だから本がたくさん読める。

 「二十歳の原点」は学生運動に身を投じ、二十歳の時に電車に身を投じて最期を迎えてしまった高野悦子さんの日記である。

https://www.amazon.co.jp/二十歳の原点-新潮文庫-高野-悦子/dp/4101183015

この本を読んで後追い自殺をしてしまう人もいるという噂を目にしたこともあり、同い年だし鬱々としている自分は一番読んだらいけないんじゃないかと思って半年くらい読まないままでいた。だけど興味が抑えられなくなって、読んだ。人の不幸な話はどうしても興味深々になってしまう。本を読んだけど結局私は死なないでいられた。

 高野さんは京都で一人暮らしをして大学に通い、詩を読んだり現代史の勉強をしたりしていた。優等生らしい振る舞いをよくしていて、日記にも「勉強しなきゃ」とか「バイトに励まなきゃ」とか、いろいろと自分に何かを課しながら、日々の記録を書いていた。中でも学生運動に参加することは、彼女の中で次第に大きくウェイトを占めていくことになった。普通に真面目で普通に孤独で内省的なところは多くの人が親近感を覚えると思う。

 日記を読んだってその人が何で死んでしまったか、これが理由だと突き止めることなんてできない。当たり前だけど日記がその人の全てでもない。高野さんと同じ時代に生まれていたら私も同じような道を歩んでいたような気もするし、全然そんなことないのかもしれない。逆に高野さんが現代の大学生だったらどうなっていただろうか、とも思う。

 何を書いても野暮かもしれないけど、高野さんの書く文章は率直で精緻で好きだと思った。